入浴剤のファンタっぽいにおいと柑橘類の酸っぱいにおいが混ざってもミックスジュースのにおいにはならない。という発見を伝えたいが、風呂場から脱衣所を通ってベッドまではわりと遠い。
浴室の壁面のテレビをつけるといきなりアダルトチャンネルでハーフかクオーターの女優が似合わないセーラー服で股間をいじられていて、しばらく見て、乳首があらわになったところで切った。
かたいバスタオルでいい加減に身体を拭いてベッドへ戻ると、デート相手は女子高生のようなスピードで携帯電話に何かを打っている。何気なく覗いてしまってそれが別の女に宛てているものだと気づく。語尾が、「ですにゃ(・ω・)」だったから。
料理を食べ終わった後にカロリーの高さと添加物についての説明を受けてしまったような気分、いや、それに加えて厨房をゴキブリが這い回っていたことと調理人の頭から金田一耕助並みのフケが飛散していることと彼がトイレに行っても手を洗わなかったということを知らされた感じ。予想の範囲ではあるが、敢えて知らされたくはないことだ。
デート相手は悪びれもせず、王様のように笑って腕を差し出した。
手枕にはやわらかすぎる腕だ。
伊予柑を湯船で剥いて、凹型の真っ赤な椅子に種を並べる。
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