苦い薬

母の友人が始めた手作り雑貨のセレクトショップ、今シーズンの目玉商品はカットワークの春ショール。もう残り一点になってしまった。他のデザインのショールも淡い色彩で美しい。白を基調にした店舗で、地下にあるのだけれどちゃんと明かり取りの工夫がなされていて、自然光が入ってくる。帰り際、歳時記やら携帯電話やら持ってはしごを上ろうとするが、バランスを崩してはしごが外れかけてしまう。ほかのお客さんに支えてもらってことなきを得る。
 

 
一時的に現世に戻った即身仏の介護をするという仕事で、わたしの担当はおとなしい上人様なので特に手間がかかることもなく、万が一に備えて添い寝するだけなのだが、なぜかその日は胸に手を伸ばしてくるし、妙にくっつきたがるし、赤ちゃんのようになってしまっていて、かと思えば腰のあたりに何やらかたいようなやわらかいようなものが押しつけられており、即身成仏してもなお乗り越えられないものがあるということか。燃やしていいかしら。
 

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