対位法


成績優秀なわたしは飛び級で外国の音楽学校に入学した。
学ぶのは、たとえば楽譜のおたまじゃくしをめだかに置き換える試み。
言っていることの半分も理解できないけれど、ほかの学生だって似たようなものだろう。
年上の同級生たちは、毎晩パーティやデートで忙しい。
故郷から送られてきた荷物を開けると、伝統的な赤い下着(首の後ろで紐を結ぶタイプのもの)、鬱金色のドレス、ラメ入りの靴。
大学生には必要だと両親は考えた。
しかし必要だろうか。
お酒が飲める年齢まであと何年もあるのに。
寮の薄い壁越しに、隣の部屋の二回生が男と睦み合う音が聞こえてくる。
壁に頭を付けて、教科書を開く。
みっしりと敷き詰められたローマン体の活字が小刻みに震える。

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