東中野上映レポート 8

この日のトークショーのゲストは、いまおかしんじさん。『岡山の娘』に関しては予告編をつくってくださったり、公開初日には舞台挨拶の写真を撮って下さったりと大活躍の名監督です。

「『岡山の娘』は異性を見つめていたい、っていう欲望が溢れてる」といまおかさん。
福間監督も、「女の子を正面からつかまえたい、女の子を綺麗に撮るっていうのが映画」と語り、『岡山の娘』の秘められたエロティシズムが明かされていきます。アダルトビデオの視点についてのお話から、フィルム→デジタルの表現移行について発展していくことも。
「フィルムでしか出来ないっていうこだわりみたいなものが13年前にはあったけど、それは違うんだ。」と福間監督。「でもモニターばかり覗いているような現場じゃだめだ。」監督の撮影ポリシーも語られました。

四角いモニターの中だけでなく、その外側にも広がる世界と、その中の女の子。
開かれた風景と、女の子。

少年のような純粋なやましさで、追いかけるように異性=女の子を見つめるということ。

福間監督の目指す映画のイメージはきっと、そこから生まれてくるのでしょうね。

宣伝スタッフ・河野

30
11月
2008

東中野上映レポート 7

上映が始まって9日目、11月23日(日)。『岡山の娘』は二度目の日曜日を迎えた。

昨夜のオールナイトの疲れも知らぬ福間監督は、いまポレポレ東中野で上映中の『小梅姐さん』を鑑賞。CDまで買って、炭坑節を口ずさみながら外に出ると、ちょうど今日のトークゲストの切通理作さんがやって来られた。

昨日のオールナイトで『急にたどりついてしまう』を見てくださった切通さん。外のベンチに座るなり「いやー、なつかしかったですねえ!」。野外での舞踏シーンに、切通さんは出演しているのだ。

あれから13年。評論家として着実に話題の本を出してきた切通さんの最新刊は、『増補決定版 宮崎駿の<世界>』。2001年にちくま新書で出版されサントリー学芸賞を受賞したものを大幅改稿し、『崖の上のポニョ』までの新作について書き下ろした600ページを越える文庫決定版である。

さて、舞台に上がった切通さんは、活発に質問と感想を語ってくれた。。

その1 福間さんが『急にたどりついてしまう』を撮ったあと、ある対談で「自分はフィルムからヴィデオに移行することはない」と断言したが、今回ヴィデオなのは?

その2 『岡山の娘』にはどこにたどりついてもいい自由さがあって、そういうところがとてもいい。

などなどに対して監督は「たとえば、この映画のヒロインみづきを演じた西脇裕美さんがみづきになってゆく過程。あらゆることにおいて、結果ではなくその過程、成ってゆくこと。そのおもしろさを見つめることに、自分の表現の根っこがあるような気がする」と結んだ。この言葉は『岡山の娘』を読み解くカギにもなっているように思える。

切通さん、どうもありがとうございました。

ところで、このブログの「ニュース」でも告知していますが、トークショーの追加が決定しました。

11月30日(日)には、『童貞。をプロデュース』の監督松江哲明さんを、

12月2日(火)には、『感染列島』の公開が間近の監督瀬々敬久さんをゲストにお招きして福間監督とのトークを行ないます。

ぜひご来場ください。お待ちしています!

宣伝スタッフ おてもやん

25
11月
2008

東中野上映レポート 6

11/22(土)レイトショーに続き敢行されたオールナイトの会場もめでたくほぼ満席!上映前のトークショーには足立正生監督、サトウトシキ監督、レイトショーにつづき登壇してくれた原将人監督という真夜中を感じさせない豪華なメンバーがが登壇しました。

福間さんが脚本を手がけたサトウトシキ監督の『悶絶本番 ぶちこむ!!』や初監督作品『急にたどりついてしまう』まで「さまよえる魂」を描き続けてきていことに触れ、さすらうのを止めた父親が登場する『岡山の娘』での眼差しの変化について指摘する足立正生監督。

『急にたどりついてしまう』を瀬々監督と共同プロデュースし、撮影現場でとにかく楽しそうだった、何でもかんでも自分でやりたがっていた福間監督を懐かしむサトウトシキ監督。

『岡山の娘』においてダイアローグそのものが詩になるという、言葉と映画の関わり方における映画の新しい可能性について言及する原将人監督。

福間健二監督との出会いから監督の世界観まで、順々に語り、福間監督(お風呂上がり)も終始リラックスしたご様子で答え、あっという間に夜は更けてゆきました。

この日上映された映画は95年→69年→95年→69年を交互に行ったり来たりするという誰しもが体験し得ないものになったと思います。この日を経て再見する方は、時を超えて生まれた2008年製作の『岡山の娘』という映画がまた違って見えてくるかもしれませんね。リピーター割引もしっかり設定されておりますので、是非何度でも足をお運びください!

『岡山の娘』宣伝スタッフ すごくまちがっているわけじゃない太郎

25
11月
2008

東中野上映レポート 5

11月22日土曜日。3連休の初日ということもあってか、館内は補助席も出てほぼ満席。宣伝スタッフにとって、うれしいうれしい光景です!

今日のゲストは原將人監督。1968年、高校生のときに撮った『おかしさに彩られた悲しみのバラード』が、草月フィルムフェスティバルでグランプリを受賞して当時の高校生に映画製作ブームを巻き起こした人である。福間監督とはそのころ出会っている。原監督が初の劇場映画『20世紀ノスタルジア』(広末涼子のデビュー作)を完成させたのち、福間監督の前作『急にたどりついてしまう』に飲み屋のマスター役で出演してもらったといういきさつがある。

『岡山の娘』の冒頭、ドキュメンタリー的に「娘」たちへのインタビューから入って、ヒロインへのインタビューに続いてドラマが始まっていくところに、まず惹きつけられたと原監督は言う。そして、自分だったらミュージカルシーンにするだろうところを、福間監督は詩を朗読させるシーンにして、この映画をミュージカルならぬポエティカルにしている。そこに『岡山の娘』の新しさがあると語った。

映画をとおして出会った40年の時間ののちに、お互いにジル・ドゥルーズの『シネマ1』『シネマ2』から大きな刺激を受け取っている二人の監督。終わらないトークは、時間切れとなって大拍手を受けた。

なんと、このあと二人は劇場近くの銭湯に直行! 

トークはお湯の中でさらに熱が増したことだろう。かつて東中野に住んでいた原監督がよく通ったというその銭湯の主人に「久しぶりだねえ」と声をかけられたそうだ。

原監督の新作『あなたにゐてほしい』は、来年公開予定です。

宣伝スタッフ Antony

25
11月
2008

東中野上映レポート 4

11/21(金)この日は、社会学者で監督と同じく首都大学東京の教授を務めていらっしゃる宮台真司さんをお迎えしたトークショーが行われました。ジェネレーションこそ多少ずれながらも、青春時代に若松孝二の映画に熱中したという共通点を持つ二人はすっかり意気投合。宮台さんから60年代〜70年代当時の若松プロの雰囲気や、若松孝二監督に対する監督の思いを問われると、「若松孝二はとにかくこわかった。でもかわいいひとだった。」「ぼくは、若松孝二にとても憧れもした。でもどこかで対抗したいという思いもあった。」と記憶の中から複雑な胸の内を明かす福間監督。
映画をつくるということの原体験から、いまだ「新しさ」を目指して挑んだ『岡山の娘』に話題がうつると、宮台さんは鋭い視点で、ズバズバと『岡山の娘』の本質を射抜くような流石のご指摘。監督は、「そう、そこ!僕が描きたかったのはね・・・」と嬉しい興奮が絶えないようでした。

さて、そんな宮台さんから福間健二監督と『岡山の娘』へ、この日語られた名言を3つピックアップしておきます。
● 「(福間健二は)クリント・イーストウッドみたい」
● 「(『岡山の娘』は)冒頭のえっちな感じがいい。」
● 「(そして『岡山の娘』は)見ることへの驚きが純粋に開かれている映画。」

そして実は、舞台を降り、会場の外へ出てからも、監督と宮台さんのトークショーはしばらくの間続いたのでした・・・。

今後もまだまだ素晴らしいゲストの方をお迎えしてトークショーが行われます。『岡山の娘』をまだ御覧になっていない方も、もう一度観たいという方も、是非是非ご来場下さい。

宣伝スタッフ・河野まりえ

23
11月
2008

東中野上映レポート 3

11月19日水曜日。冬晴れの夜は冷えこんでいる。今日のトークゲストは、詩人で映像作家でもある三角みづ紀さん。三角さんの処女詩集『オウバアキル』は中原中也賞を受け、『岡山の娘』のなかに登場する詩集『カナシヤル』は昨年の歴程新鋭賞を受けた。いま海外からも注目されている詩人である。

映画のヒロインみづきは三角さんがモデルではないが、名前は彼女からもらったそうだ。けれども、『岡山の娘』は三角さんの詩と映像からいろんなかたちでインスピレーションを受けている、と監督は言う。

さて、今日のトークは後半に三角さんの朗読がある。

監督の「映画のなかで詩を使わせてもらいたいとお願いしたとき、どう思った?」の質問に、「すごくうれしかった」と答えた三角さんの笑顔が印象に残った。

ふたりともちょっと照れているようなトークのあと、石井ようへいさん(失礼!漢字がわかりません)のギター&パーカッションとともに三角さんの朗読は始まった。映画のなかで使われた「ひかりの先」と「あまのがわ」。しずかにひびく透き通った声はときに歌になり、リフレインして、わたしたちの胸に届く。二つの詩を自在に行き来しながら、三角みづ紀の詩は音楽になる。うつくしい音色の「魅惑にみちた苛酷な世界」にいつのまにかひきずりこまれていた。

詩人の方がたくさん来てくださった5日目でした。

宣伝スタッフ Antony

22
11月
2008

東中野上映レポート 2

上映2日目の11月16日は、「レイトショーの日曜日はきびしい」に追い討ちをかけるような小雨のぱらつく曇天。しかし午後8時30分、「ポレポレ東中野」の前は明るい。整理券と引き換えて「岡山ミニみやげ」を手にした人たちが笑顔で開場を待っている。

今日のトークゲストは『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』が大ヒットしている若松孝二監督。福間監督が到着すると、若松監督はすでにロビーに待機していた。かつての弟子に「観客を迎えるのはこういうことだ」と態度で示すように。

9時、支配人の大槻さんの司会でトークが始まった。若松監督のメッセージは熱い。その温度は場内に浸透してゆく。「現実の世界で警察を殺したらすぐに刑務所だけど、映画の中なら100人殺したっていいんだ。オレはそうやって映画を作ってきた」

60年代、ピンク映画に革命を起こし、72歳のいま、2年をかけて作り上げた『連合赤軍』を引っさげて、文字通り世界に立ち向かう。

「オレも福間君もこれからまだまだ映画を作りたいんだ。だから皆さん、みんなに声かけて『岡山の娘』を盛り上げてやってくれ」

アンパンマンとヤクザが同居するようなこの大監督のあたたかい言葉。

若松監督、ありがとうございました。

宣伝スタッフ Antony

18
11月
2008

東中野上映レポート 1

11月15日土曜日。映画『岡山の娘』はついに公開初日を迎えることができました。当日のポレポレ東中野には、開場30分以上前から当日券を求めるお客さまが沢山集まって下さいました。

この日は福間監督もそわそわと緊張した様子で、舞台挨拶前にはこっそり「お散歩」にお出掛け。でも主演女優・西脇裕美さんをお迎えしていよいよ舞台挨拶が始まると、監督は『岡山の娘』への思い入れや映画の見所などを、熱く訴えていきます。西脇さんも、これから女優さんとして成長していくのが楽しみになるような、しっかりとした口調で、また、ときにユニークな表現で、『岡山の娘』とご自身について話され、会場は和やかな雰囲気で上映を開始しました。

終映後、劇場のドアが開かれると、監督の元には多くの方が駆けつけさまざまな感想を聞かせてくださいました。そして、西脇さんにはサインを求めるファンの姿が。

『岡山の娘』がご来場くださった皆さま一人一人の胸に、それぞれの感じ方で響き、記憶として残り、またいつかもう一度観たいと思って頂けたなら、監督・スタッフ一同、共にとても嬉しく思います。公開期間中は半券をお持ちになっていただくとリピーター割引がありますので、皆さま是非またご来場ください。

改めて、ご来場いただいた皆さまに心よりお礼申し上げます。

ありがとうございました!

宣伝スタッフ 河野まりえ

18
11月
2008