半分妄想トルコ日記(4日目・前編)気球は上がらなかったけど


熱気球が上がるのは早朝だ。5時に起きて丘を登った。野良猫も野良犬も多い。野良猫はイスタンブルにもアンカラにもいたけど、ここにはけっこう大きい野良犬が何匹もいる。おとなしいけど触ってはいけません。猫もね。
しばらく待ったけれど、気球はひとつも見えない。
「今日は中止されたようです。いつもならこの時間は気球が見えますから。残念ですね」

カッパドキアの夜明け。西部劇のロケ地になることもあるらしい。

ひとりで来ているらしい東アジア系の女性がいたので声をかけたら日本人だった。二人の写真をフレディに撮ってもらい、彼女のiPhoneにAirDropで送った。きっと面白いひとなんだろうなという気がしたけれど連絡先は聞かなかった。あとで見返すとわたしも彼女もひどく眠そうな顔をしていて、どこか空気が似ている。学生時代は教室の隅で文庫本読んでたんだろうなって感じ。たとえるならば自分が中高一貫女子校の高校三年だったとき同じ部活に入ってきた中学一年生の、少しさびしそうでなんとなく気になっていたあの子(そんな事実はない)に再会したような気持ちだ。普段はそんなことしないけど、握手して別れた。
フレディが部屋に戻って仮眠を取る間、わたしは猫の写真を撮って回った。

猫に会うためにトルコに行く人も多いと思います。それは圧倒的に正しい。

朝食会場へ行く階段でアジア系の初老の男性に「日本からですか」と声を掛けられた。台湾のひとだった。
トルコに来る前に予習として見ていたYouTube動画で、周りにアジア系(中国人)がいるかどうか気にかけてる様子があって、わたしもアジア人の姿を探してしまうのかなーと思っていたけど、実際にそうだった。たぶん台湾のおじさんもわたしを見てアジアンレーダーが反応したのだろう。

トルコのお店や町の様子を知ったり持ち物を検討するにあたりこのヤモリさんという方の動画がいちばん役に立ったので個人旅行でトルコもしくは韓国を訪れる方には強く強くおすすめします。私小説的なダウナーな語りもすごくいい。去年の台北旅行ではウェットティッシュをあまり使わなかったのだが、動画を見て「やっぱり必要!」と思って買った。(でも張り切っていっぱい持ち込んだら5泊分としては多すぎて最終的にお土産を詰める隙間を作るためフレディに引き取ってもらった)
旅行終盤で猫写真を撮りたくなったのもヤモリさんの影響かもしれない。

ギョレメ屋外博物館で岩穴と岩穴と岩穴と岩穴の中に描かれたフレスコ画を見た後、車でいくつかの名所を回った。岩穴が多すぎて、観光客も多すぎて、結構疲れてしまった。「チャウシン」や「パシャバー」に行ったはずなのだが「岩だ」「穴だ」としか思えなくなって地名を確認していない。たいていの穴には自由に立ち入っていいので穴があったら入りたい人生を送ってきた人(わたし)にはぴったりだ。何も考えず登ったり潜ったりするのがけっこう楽しい。ただしわたしはここで体力を消耗しすぎて後に眩暈を起こします。

穴があったら入りたい気持ちが一生分満たされたのでこの先の人生は羞恥心のない人間として生きる。

昼食は少し遅めの午後2時半頃。アヴァノスという焼き物で有名な町の小さな食堂で。タルカンなどトルコのアーティストのミュージックビデオが流れていた。

この写真の左上の白いやつが感動的においしかったです。

何を食べてもおいしかったのだが、真っ白なヨーグルトソースの中に柑橘類のような果肉が入っていてその果肉部分にアルコールの刺激を感じる前菜的な何かがとてもおいしかった。あれはなんだったんだろう。葉っぱがわっしゃわっしゃしたサラダを食べるときはお箸がほしい。お箸は車に置いてきていた。残念。

フレディはお祈りに行き、わたしは食料品店でお菓子とジュースを買った。13歳ほどに見えるレジの少年は外国人への対応も慣れたもので電卓で値段を見せてくれた。彼は家の仕事を手伝っているのだろうか。流行のフェードカットだった。トルコではこのくらいの年頃の子供が整髪料を使った見事な髪型にしているのをよく見かけた。こちらでは普通なのかもしれないけれど、背伸びしているようでとてもかわいい。
焼き物はちらりと見るだけで買わず、集合場所に決めたマクドナルドの前に戻った。

アヴァノスの町の真ん中には橋が2本あって1本は吊り橋なのだが、そこを渡った後は平衡感覚がおかしくなり、地面が揺れ止まなくてしゃがみ込んだ。

海外旅行って、まあ一般的に生理をずらすことを考えるよね。
わたしも一応準備はしていた。中用量ピルをもらっておいたのに、血栓症のリスクおよび胃をやられる可能性を考えて結局飲まなかったのだ。飲まなくてもぎりぎりで回避できるほうに賭けた。博打が外れて予想よりも数日早く来た。

フレディは「こればかりはどうもしてあげられないので自力で頑張って!」を込めた目で待っている。

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