レアンドロ・エルリッヒほどの深さ


港に停泊している豪華客船。
母が白い水着を着ている。
わたしは小学生の頃買ってもらった蛍光オレンジの水着。
船のプールは思いのほか深い。おとなの背丈よりもまだ深い。
色とりどりの水着を身に着けたひとが泳いでいる。
潜ったり泳いだりしてプールから上がり、階段状になった甲板を歩いていると、突然人々が逃げ始める。
船が沈みかけているらしい。
わたしはベンチに腰掛けていた祖母を背負って船から脱出する。
母の姿は見当たらないが、母ならひとりで逃げられるだろう。
真夏の日差しがまぶしい。気温が上がる。祖母は脱水症状を起こしかけている。
周りにはわたしと同じように船から逃げてきたひとがいる。みんな女性だ。
日陰を選んで休憩し、しばらく歩くと寺院の石段、その上に蛇口が見える。
祖母を背負ったまま倒れそうになりながら石段を上ると、住職が立っていて中へ入りなさいと言ってくれる。