修学旅行

半面は芯がほぼ露出した状態、もう半面は普通、ひらさか氏はいつも鉛筆をそのような特殊な削り方に整えている。
ゆっくり、ゆっくり、一画ずつていねいに書く。
氏名を記し、捺印する。
そうやって渡航証明が完成する。
鉛筆で書くのは水に濡れたときにインクがにじんで判読できなくなるのを防ぐためだそうだ。
宙港について出発までは時間があったけれど、自分の向かうべき搭乗口がよくわからない。
出発のほんの数分前、アナウンスにより11番(9番)へ向かわなければならないことがわかり、走る。
手続きは締め切ったあとだったけれど、ドアはまだ開いたままで出発セレモニーが行われている。
セレモニーの終わり際、挨拶を終えたVIPの真横に飛び込んだら、誰にも止められることなく乗ることができた。
宇宙旅行は海外旅行扱いにならないぶん甘い面もあるのだ。

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