横川シネマでは3月22日(日)に先行上映を行なって、その約1ヵ月後の4月18日(土)から本上映が始まりました。
本上映に立ち会えない監督に代わって、挨拶を引き受けてくれたのはバルカン役の東井浩太郎さん。15時の回に岡山市から高速バスで駆けつけてくれました。支配人の溝口さんとはもちろん初対面ですが、溝口さんは東井さんの声ですぐにバルカンさんだとわかったそうです。そう、東井さんは現実でも詩人であり、映画のなかでも「このスープは正確に狂っている」という自作の詩を、独特の低く響く声で朗読しています。
東井さんの挨拶のあと、溝口さんからの質問でトークです。
M「この映画はオーディションで役者を見つけたということですが」
T「そうです。ほとんどが素人の人で岡山の人です。でも、僕のバルカン役だけはシナリオの段階から決まっていたそうです。ヒロインみづきのお父さんである信三がかつて岡山大学で教えていたときの教え子がバルカン、という設定は現実の福間さんと僕の関係なのです。かつ僕はフリーのコピーライターなので、バルカンの何で生計を立てているかわからないような人物、それとも重なるところがあるんです」
M「自分が投影された役を演じるのはどうでしたか?」
T「バルカン役は、『演じないこと』のむずかしさでしたね。自分を演じるのか、じゃあどう演じたらいいのか、わからなかった。すごくむずかしかったですね。悩みました。この映画に登場する男たちは、それぞれがほんとうに物語に必要なのかどうかわからないような人物たち。不良ではないけど、良でもない。正しくはないかもしれないけれど、間違ってもいない。どこか雑草のように生きている人間を、監督は描きたかったのでしょうか」
M「今日、ご覧になってどうでしたか?」
T「約2年前の猛暑の夏に撮影された映画を、季節も違うなかで観ているのは不思議な感覚でした」
2007年夏、ほんとうに暑かったですね。
今日の広島の最高気温は25度。外の日射しは夏を感じさせます。夏の光にあふれた『岡山の娘』の各地での公開はすでに半年を過ぎ、撮影時の体感を呼びさましてくれる季節が近づいてきています。東井さんに真夏に観てもらう機会があったら、またちがった答えが返ってくるのでしょうか。
東井さん、溝口さん、どうもありがとうございました。

広島応援スタッフ モダン焼きガール