11月28日、上映2週目の金曜日。今日のゲストは、詩人の井坂洋子さん。79年に出された第一詩集『朝礼』から最新詩集『箱入豹』まで、つねに大きな話題となる斬新な作品で、読者を魅了してきた。
福間監督と井坂さんは同世代。井坂さんの落ちついた雰囲気が伝播してか、今日の監督はいつもより静か(?)である。
「ちょうど編集で一番悩んでいるときに、井坂さんと話せて救われた。『気分はスタッフの一員のつもりです』の言葉と、送ってくださったクッキーにどんなに励まされたことか」と監督は言う。そのとき井坂さんに、「詩を書くことと映画を撮ることは同じ」と語ったことについて「詩は向き合うものが見えにくかったりするけれど、映画は向き合うものがそこにある。その違いはありますけれどね」と補足した。
井坂さんは、『岡山の娘』は何度見ても飽きない映画だと評価する。「風景がよくて、居心地のいい時空間が流れているんですよね」。
そして、「映画の中で使われている現代詩がとてもよくて、わかりやすい。たとえば鈴木志郎康さんの『わたしはわたしでないからわたしだ』のフレーズがすんなり入ってきたり……」と。
最後に井坂さんは、『岡山の娘』は「現代詩入門の映画」ですね、としめくくった。
たくさん登場する詩にとまどいながら見てくださる方も多いことかと思いますが、井坂さんのこの言葉を心にとめて映画のなかに入っていくことで、『岡山の娘』の窓はより開かれていくことでしょう。

宣伝スタッフ Antony