3月8日(日)、福間監督は、阪急の十三駅前の居酒屋「十三屋」で、飲みすぎないようにと注意しながら、大感激のランチタイムをすごしたあと、午後2時、天神橋筋六丁目駅に到着。イベントの主催者、銀幕舎の高瀬進さんに案内されて、会場の古本屋カフェ「ワイルドバンチ」へ。
ぎっしり棚にならんだ古本の匂い。文学と映画とジャズの店です。
福間監督にとっては、京都「ろくでなし」の横田直寿さんや姫路の詩人大西隆志さんら、なつかしい仲間との再会の場ともなりました。
午後3時からイベント開始。
まず、『岡山の娘』を作ったいまの心境を、福間監督が語りました。
「まだ映画学校の学生が卒業制作の作品をつくったという段階の感じ。これからです」
あと2日で60歳になるというのに、若い!
それから、ロックンロールに夢中になった少年時代のことが語られました。
休憩のあと、1969年、福間監督が20歳のときに完成させた『青春伝説序論』をDVDで上映。そこから、司会の高瀬さんと福間監督による1960年代後半の文化をめぐる話が展開されました。
福間監督は、このなりゆきにいささか戸惑い気味。『青春伝説序論』についての質問には、どう答えてよいのか迷っているようでしたが、
「20歳のころはこんな馬鹿だったって証拠。それに向き合うのに、みなさんに立ち会ってもらってよかったのかもしれない」と照れくさそうに……。
駆けつけてくれた『へばの』(やはり大阪のプラネット+1で、3月7日から20日まで上映中です)の木村文洋監督があいさつをして、
「20歳でこれだけの表現をしているのに驚いた。『青春伝説序論』でも、『岡山の娘』でも、福間監督は、時代のいま、世界のいまをつかもうしている」と語ってくれました。
また、客席からの「福間さんの詩も、映画も、歩いている感じがする」という声に、福間監督は、わが意を得たように、「そうなんですよ。『青春伝説序論』のころは、まだドアをあけていなかった。それから、ドアをあけること、ドアをあけて外に出ること、外に出て歩くことこそが、表現することなんだと自分に言い聞かせてきた」と熱く語りました。
ポレポレ東中野でのオールナイトにつづく、表現者福間健二の40年を感じさせる貴重な瞬間となりました。
会のあとも、福間監督は、ビールグラス片手に「大阪ってやっぱりいいなあ」といつまでも去りがたい表情。「ワイルドバンチ」の本棚にも、そして天満駅付近の飲み屋街にも未練をたっぷり残して、新幹線に乗るため、新大阪駅へと向かいました。

大阪応援スタッフ ハウンドドッグ