広島上映レポート2

4月19日(日)、広島は今日も強い日射しの晴れ。横川シネマでの上映2日目のゲストは入海洋一さん。ヒロインみづきのお父さん信三を演じた人です。
じつは入海さんは広島と深いつながりがあるのです。彼は、映画でも登場する「トーチカ」という古着屋+カフェ+散髪屋(ふしぎ!)の店主であると同時に、帽子作家でもあります(それはとてもユニークな帽子たちで、福間監督もひとつ持っています!)。昨年夏に彼の帽子展を開催したカフェ「ヲルガン座」は、広島市十日市町にあるのですが、なんとヲルガン座と横川シネマはとても親しいのです。先行上映の際に溝口さんからその話を聞いて、監督もプロデューサーもびっくり。岡山でも知る人ぞ知るの入海さんは、広島でもしかり。「ご縁ですね」の溝口さんの言葉に、これはぜひとも入海さんに舞台挨拶をお願いしなければ、ということになったわけです。
岡山から車で来てくれた入海さんは、緊張をほぐすために「ヲルガン座でビール飲んできましたよ」と来館。ニコニコ顔で迎える溝口さんに、「何話したらいいんスか」といつもの調子でテレています。
さて、舞台に上がった入海さんを溝口さんが紹介しました。
「広島と縁のある入海さんとは、初めてお会いした気がしないんですけど……。お父さん役が決まったのはどんな経緯ですか?」
「僕は、店を撮影場所として提供する、さらに衣装も、というようなところからこの映画と関わったんですけど……。信三役はオーディションというより、他に候補がいなかったから僕に来たんじゃないですか。引き受けてから、そりゃあもう大変でした。まずスペイン語おぼえるのが大変、セリフはちっとも頭に入らない。だから準備の2ヵ月大変で、撮影の1ヵ月近くはもうわけがわからなくて大変で、終わってからも3ヵ月ぐらい現実に戻れなくて大変で、半年近く大変が続きましたよ(客席笑い)。今日久しぶりに観て、すごく恥ずかしいッスね」
「入海さんは帽子作家でカフェもやり、映画にも出たというようにジャンルを超えて面白いことをやってるわけですが、岡山はそういう人たちが多いのですか?」
「そう、いま岡山はいろんなことをやろうって人がけっこういますね」
で、溝口さん、「まあじゃあ、こんなところでいいんでしょうか、いや、いけないのかな」とか言いながら、なぜか壇上に正座。入海さんもあわてて正座して「どうもどうも」とお辞儀。客席は爆笑です。なんだかふしぎな空気の二人のトークでした。
入海さん、溝口さん、どうもご苦労さまでした。

入海さんは今年の7月、ふたたびヲルガン座で帽子展を開きます。『岡山の娘』を観てくださった広島の方、ヲルガン座と横川シネマの周辺の方、入海さんの個性いっぱいの帽子をぜひ見に来てくださいね。

広島応援スタッフ モダン焼きガール

22
4月
2009

広島上映レポート1

横川シネマでは3月22日(日)に先行上映を行なって、その約1ヵ月後の4月18日(土)から本上映が始まりました。
本上映に立ち会えない監督に代わって、挨拶を引き受けてくれたのはバルカン役の東井浩太郎さん。15時の回に岡山市から高速バスで駆けつけてくれました。支配人の溝口さんとはもちろん初対面ですが、溝口さんは東井さんの声ですぐにバルカンさんだとわかったそうです。そう、東井さんは現実でも詩人であり、映画のなかでも「このスープは正確に狂っている」という自作の詩を、独特の低く響く声で朗読しています。
東井さんの挨拶のあと、溝口さんからの質問でトークです。
M「この映画はオーディションで役者を見つけたということですが」
T「そうです。ほとんどが素人の人で岡山の人です。でも、僕のバルカン役だけはシナリオの段階から決まっていたそうです。ヒロインみづきのお父さんである信三がかつて岡山大学で教えていたときの教え子がバルカン、という設定は現実の福間さんと僕の関係なのです。かつ僕はフリーのコピーライターなので、バルカンの何で生計を立てているかわからないような人物、それとも重なるところがあるんです」
M「自分が投影された役を演じるのはどうでしたか?」
T「バルカン役は、『演じないこと』のむずかしさでしたね。自分を演じるのか、じゃあどう演じたらいいのか、わからなかった。すごくむずかしかったですね。悩みました。この映画に登場する男たちは、それぞれがほんとうに物語に必要なのかどうかわからないような人物たち。不良ではないけど、良でもない。正しくはないかもしれないけれど、間違ってもいない。どこか雑草のように生きている人間を、監督は描きたかったのでしょうか」
M「今日、ご覧になってどうでしたか?」
T「約2年前の猛暑の夏に撮影された映画を、季節も違うなかで観ているのは不思議な感覚でした」
2007年夏、ほんとうに暑かったですね。
今日の広島の最高気温は25度。外の日射しは夏を感じさせます。夏の光にあふれた『岡山の娘』の各地での公開はすでに半年を過ぎ、撮影時の体感を呼びさましてくれる季節が近づいてきています。東井さんに真夏に観てもらう機会があったら、またちがった答えが返ってくるのでしょうか。
東井さん、溝口さん、どうもありがとうございました。

広島応援スタッフ モダン焼きガール

22
4月
2009

高松上映レポート2

香川は、数々の映画の舞台となっています。最近は、映画ロケ地をめぐる観光コースがあるほど。福間監督も、4月12日(日)の午前中、今回の企画の主宰者の成合一康さんに案内され、なんと『世界の中心で、愛を叫ぶ』の舞台となった四国最北端の町、庵治町を訪れました。その海辺の町の佇まいに「やっぱり、いい場所を探しだしてるね」。
早めの昼食をとった高松の中央市場近くの「いただきさんの海鮮食堂」も、福間監督はすっかり気に入った様子。ずらりと並んだ魚料理の皿から好きなものを選ぶセルフ式に、「これはいいな。迷ってしまうけど」と、ニコニコ顔。
今日の上映後のトークでは、まず、藤川祥虎さんの映像作品と木村恵美さんの詩朗読のコラボレーションをめぐって、「映像と言葉」の話題が、弁士による活弁のあったサイレント映画の時代にまで広がりました。そして、福間監督は、「音のことがほんとうによくわかっている映画作家はあまりいない」と、藤川さんのこれからの活動への期待を語りました。
ANNRIさんは、「昨日は、『岡山の娘』の技法的な面に焦点をあてたけど、今日は内容に切り込みます」と、さまざまの角度から質問。英語タイトル『My Dear Daughter of Okayama』の“of” の意味するものをめぐって、父と娘について、男性と女性の現在について、そしてナレーションの「もうすることはない」についてなどなど。
最後に「みづきは、このあとも岡山で暮らすのか?」という質問が出ました。藤川さんが、自分がいま高松にいる理由を語りました。福間監督はちょっと困った様子。見た人それぞれが自由に受けとっていいということでしょうか。
二日間にわたった「シネマコレクション2009」。みなさん、ほんとうにお疲れさま。

高松応援スタッフ うどん大好き娘
 

18
4月
2009

高松上映レポート1

4月11日(土)、午後早めに高松入りした福間監督。まずは、うどんで腹ごしらえ。相変わらず、食欲旺盛。それから、四国新聞の取材を受けたあと、未来都市のような風景のなかにある会場のe−トピアにやってきました。上映のおこなわれるBBスクエアの同じ階にある録音スタジオや編集用ワークショップ室の設備に、「高松の人たちはここで映画製作を勉強できるのか。すごい環境だ」と、驚いた様子。さぬき映画祭と直結した映画実践講座「映画をつくろう」のパンフレットを熱心に見ていました。
午後6時半、総合司会のラジオ・パーソナリティ脇光雄さんの進行ではじまった「シネマコレクション2009」。最初のプログラムは、「たびだち」と題して、作曲家・DJの藤川祥虎さんの映像作品と木村恵美さんの詩朗読のコラボレーション。
「このコラボレーションのあとなら、『岡山の娘』にすんなりと入ってもらえそうな気がします」と、福間監督は上映前のあいさつで語りました。
上映後のシネマトークは、やはりラジオ・パーソナリティのANNRIさんと藤川祥虎さんが福間監督を挟むかたちでおこなわれました。
福間監督と同世代で、若いころに8ミリ映画をつくっていたというANNRIさんからは、共感の言葉ととともに「フェイドアウトが多いですね」といった鋭い指摘と質問がなされ、福間監督も『岡山の娘』の技法的な工夫について熱く語りました。
『岡山の娘』の音の使い方がすばらしいという藤川さんの言葉に、福間監督はうれしそうに「音で自然をとりかえそうとしたんだ」とまたしても熱弁。
「ANNRIさんがやっていたという8ミリ映画や、上映された藤川さんの作品のような若い世代がいまつくるDV作品。そういうものと予算をかけて製作される劇映画のあいだをつなぐような仕事がしたいんです」と福間監督が最後に語って、楽しいトークは終わりました。もっと聞いていたかった。大丈夫、明日につづくのです。

高松応援スタッフ うどん大好き娘

16
4月
2009