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詩誌 Unedited 第8号に寄稿しています

 

詩人の郡宏暢さんが制作・デザイン・世話人を務める詩誌Uneditedに「虹と指サック」と題して俳句14句を寄せています。

郡さんといえば労働の辛さを任意の酒で割って串刺しの色気をそっと添えたような詩を書かれる方なので、わたしも作品をまとめるにあたり「労働つら!」の要素を盛り込みました。

タイトルの種明かしをすると、

年度末進行ゆるく指サック

箱庭に空ひろすぎる彩虹旗

という2句から取っているのですが、「指サック」に象徴されるのが労働なら、「虹」は労働の場で異物扱いされてしまう、ひとそれぞれの自然なあり方と捉えてもらってもいいかもしれません。

六月、職場のロビーにレインボーフラッグが掲げられていました。いまは形ばかりの取り組みかもしれないけれど、形ってのが結構大事だと思う。

文芸同人北十『砂時計』第5号寄稿してます #文フリ札幌

2023/7/9(日)開催・文学フリマ札幌8にて頒布開始の『砂時計』第5号に寄稿しています。

「創作と表象」をテーマとした特集に「俳句に憧れる八歳の女の子のためにーー俳句におけるはたらく女性の表象について」という題で文章を書かせてもらいました。

『砂時計』第5号表紙

わたしは女性として生まれ育ち(実感はさておき)いまも女性として生活しています。小説、映画、ポップスの歌詞や広告などにおける「女性」の描かれ方には違和感を覚えることが多く、俳句や俳句評論でも「女の扱いがひどすぎんか?」とたびたび感じてきました。今回の文章ではそういった違和感やむかつきをエネルギー源にしつつ、特に労働する女性の表象に焦点を絞り、次のような俳句を紹介しました。

酌婦来る灯取虫より汚きが 高浜虚子

 →超有名句ですが読むたびに新鮮に腹立つ。

炭俵かつぐ乳房を縛されて 菖蒲あや

 →菖蒲あやさんは小節のきいたブルースだよね。

母という脱げ易きもの夏木立 花森こま

 →「母」の描き方として発表された当時(1995年)としては異色だと思う。

銀漢や女所帯の編集部 松本てふこ

 →この句については神野紗希さんの『女の俳句』での評が納得できないぞ! ということを書きました。

薔薇ピンクイエローのり子美容室 岡田一実

 →かわいい。めでたい。好き。

ちなみに「俳句に憧れる八歳の女の子のために」というフレーズは、『オーシャンズ8』という映画の「これは私のためでもあなたたち自身のためでもない/この世界のどこかで犯罪者を夢見る8歳の少女/彼女のためにやろう」という台詞に由来しています。

世の中を変えていくのは容易ではないけれど、みんなで壁を少しずつ殴ったり削ったりして小さな罅を入れていけば、いつかはぶっ壊せるに違いないのです。わたしの文章は、先人の作った罅のそばを狙って打った小さな小さなハンマーの一撃にすぎないけれど、それでもきっとつぎの誰かの戦いの一助になるだろうと信じて書きました。(激重!)

文フリ札幌に参加される方は【お-25】北十のブースにてぜひお求めください。北十のウェブショップからも入手可能です。

俳句誌『豆の木』No.26

ha11ok from Pixabay

俳句誌『豆の木』No.26(2022年5月31日)に「加害者にならないために プロジェクト『短歌・俳句・連句の会でセクハラをしないために』に応えて」という佐々木紺さんの記事が掲載されている。
高松霞さんのプロジェクト「短歌・俳句・連句の会でセクハラをしないために」の報告書・要望書・パンフレットが豆の木にも届いたという報告および、俳句とセクハラに関するかなり親切な解説や紺さん自身が日々気をつけていることなどが書かれている。

想像してほしいのだが、自分が加害者の立場になって、知らず知らず他人にハラスメントを繰り返して、ある日突然ものすごく糾弾されてたくさんの人に恨まれながらコミュニティを追い出されるよりも、まだ傷が浅いうちに「それはまずいよ」「あ、ごめん、良くなかったね、次から気をつけるわ」っていうやりとりをできるほうがはるかにマシではないですか??

とか、「ほんまそれほんまそれ」と言いながらヘドバン不可避です。
が、現状としては、結社の偉い人ならかなりのやらかしをしても周りが「そんなつもりじゃなかったと思うよ」とか「お酒の勢いでちょっと距離感誤ったんだよ」とか守ってくれて被害を告発した側が去るしかないみたいな現状もあることないですか…? セクハラが原因で追い出されるとしたらそこまで有名じゃない人だろうなとは思う。つら…。

ポリシーや窓口を形だけ作るだけでは意味がなく、頻繁にポリシーの中身をアナウンスしたり、窓口が健全に機能しているかさらにチェックするような仕組みも必要になるだろう。

ここもすごく大事だと思います。
作った仏に魂を入れようぜ。

目次

紺さんの記事の後には代表のこしのゆみこさんの「句会で加害者にならないために」という小文、そして豆の木メンバーの「ハラスメントについて思うこと」が11人分、匿名で載っている。
匿名のうちのひとりの意見は、

「ハラスメント」「ハラスメント」という言葉が巷を闊歩するにつれ、わたしは居心地が悪くなり、人に対する不信感が募る一方。

というものすごいフレーズを含んでいて(いや、ここ以外にも全体がものっすごいのでぜひ読んでほしいのだが)まるでフェミニストの作家が家父長制どっぷりの年配の男性になりきって書いた小説みたいで、ハラスメント対策の教材としてかなりいいです。皮肉ですが本気です。ここから学べることは多いよ。
わたしは読んでショックも受けたけれど、おそらく「豆の木」代表としてはこの意見が誰から出たものかわかっているはずで、こういう考えのひともいるから要注意、と代表の方がよく把握してくれているという点では安心材料だ。可視化されてよかったと思いたい。
なお、ここで寄せられている意見の全体の傾向としてはハラスメント対策の必要性を認める方向であったことも申し添えておきます。読んでみたい方、直接代表やメンバーの方にお問い合わせください。

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