犯罪報道

2009年9月29日

今朝の岡山版の朝刊である。殺人事件の報道があった。警察への取材の結果であるとその取材源を明らかにして詳細な犯行手口を報道していた。殺意が明らかに認められるという犯行態様なのである。これから裁判員裁判となる可能性の高い事件である。しかし,捜査側からの一方的な情報でこのような報道が捜査段階でなされることは疑問を感じる。まだ,捜査段階にある。被疑者の言い分はでていない。有罪の判決がなされるまでは無罪の推定が働くはずだ。この段階で,殺意が認められて当然のごとくの事実関係について捜査側の一方的な情報を報道するのは問題があるといわざるをえない。

その犯罪が有罪か否かは刑事裁判の過程を通じて決められることである。弁護人がついていると思われるが,弁護人のコメントはない。弁護人も捜査の段階で,被疑者側のコメントを発するべきではないと私は思っている。主張すべきことは法廷で述べるのが筋であるからだ。世論によって裁くことになってはならないと思う。時に,マスコミから担当している事件についてのコメントを求められることがあるが,基本的にこれには応じないこととしている。刑事事件において,むやみに法廷でなく外部に意見を発表することは百害あって一利なしであり,刑事弁護人としてはするべきではないのである。そうであれば,いまだ捜査段階にある事件について,捜査側からの情報として事件の詳細な犯行手口を報道すべきでないと思う。裁判員裁判の実施に際して,報道側もその報道のあり方についてガイドラインを作成しているとおもうが,きちんと守られているのだろうか。

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