財布を落とした話

2009年10月16日

昼食を一緒に食べることに友人弁護士の話。先日,タクシーに乗っていて,財布を鞄にいれないで膝の上に置いたままとなっていたようであり,そのまま気づかずタクシーを降りたようだ。ひざから財布がどこかに落ちて紛失したとのこと。クレジットカードやJRのプリペイドカードなど現金の他にもいろいろとはいっていたようである。気分が滅入ってしまっているとのことであったが,その気持ちは良く理解できる。

私も同様の経験がある。しかも国外でのことである。必死でクレジットの発行会社に連絡をとり,使用停止の手配をした。その後はクレジットカードは使えない。帰国してもしばらくは再発行手続きに時間がかかる。航空券の購入,電子マネーなどの利用もできない。何にも増して再度取得するまでの手続きがうっとうしい。気分は極端に滅入ってしまう。このときは,その後の日程は同行していた妻の後をついていくだけであった。

さらに,財布をタクシーのなかに落とした懐かしい経験がある。司法修習生のときであった。深夜,岡山駅から実家までタクシーに乗った。乗車している間に運転手さんからいろいろと話しかけられていた。私の話は,全国に支店のある不動産会社に勤務していることになった。オイルショックの景気の悪さなど結構いい加減な話をしたものだ。ところが帰って,妹にボーナスのプレゼントをしようとしたところ財布がないことに気づいた。当時は,クレジットカードなどもっていなかったが,当時としては大金がはいっていて落ち込んでいた。ところが,翌日,岡山地裁から電話があり,財布が届いているとの知らせがあった。財布に私の名刺がはいっていたのである。その名刺には「司法研修所司法修習生 配属庁岡山地方裁判所」の記載があったのである。前夜のいいかげんな話はばれてしまっていた。親切に届けて頂いた運転手さんに赤面する思いであった。ところが,話はまだ続く。司法研修を終えて弁護士になったころ,その運転手さんが勤務事務所に訪ねてきてくれて,法律相談があったのである。その方とはそれから関係する会社の顧問を頼まれたり,長いおつきあいがあった。

昔に財布を落としても,最大その時財布にはいっていた現金の被害を考えるだけでいいが,今の時代は種々のクレジットカードや個人情報の記録されたカードがいっぱいはいっている。その被害がどの程度広がるかを想像していけばとめどなく拡大していく。その意味で気持ちのうえでそれを整理するまでの煩雑さが気を滅入らせてしまう。

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