取り調べの可視化が政争の道具に?

2010年1月21日

小沢さんと東京地検特捜部検察官の聴取に応じるか否かの交渉のやりとりで,民主党側からは取調の可視化法案を国会に提出する構えをみせて検察を牽制しているとの報道があった。

えん罪のすべてに虚偽の自白がある。この自白を取ろうとする経過すべてがが録画されていれば,捜査官の無理な自白をとるための取調は大きく変化せざるをえない。裁判となって自白の任意性が争われることになっても,その経過を再生すれば,任意性の有無は容易に判断できる。えんざいをなくする大きな武器である。日弁連ではこの取調のとりわけ否認事件の取調の全課程の録画を直ちに実現するよう運動を展開している。

民主党は野党時代に参議院に2度もこの可視化法案を提出している。その重要性は十分に認識していて,この点において日弁連と立場を同じくしている。しかし,小沢さんの取調に関してこれを牽制するようにこの法案の提出を匂わすというやり方は,やはり政治の世界はこんなものなのかと失望させる。取り調べの可視化は,そんなことからではなく,えん罪を防ぐための必要な制度なのである。だから,政治的な駆け引きの問題ではなく,人権を守る当然の制度として,覚悟をもって実現してもらいたいと思っている。今回の新聞報道には,可視化に向けての動きという積極的な意味があるとは思えたが,嫌な感じを持たされた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Links

Calendar

  • 2024年3月
    « 5月    
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    25262728293031