やはり,取調が録画されていたら,,,,,

2010年1月22日

菅谷さんの取調録音テープが再審事件の審理のなかで再生された。傍聴できたわけではないので,報道でその内容を知るだけであるが,生々しい。こうした,残忍で悲劇的なえん罪事件を再び起こさないためにも,取調の可視化はすぐにでも実現しなければならない。小沢さんの事情聴取も,被疑者としての取調となる可能性のあることが報じられている。既に事件の当事者としての被疑者同様の扱いを受けながら報道,国会での論議がなされているのであるから,そうしないことの方が不自然であるされるよう請求すべきである。今,日弁連では,否認事件などについては取調の録画をするよう要請する運動を展開している。

取調の可視化がいまのように大きな声となって,政府でも検討せざるをえない状況に急速に進んだのは,裁判員制度が実現したことの影響が大きい。任意性がないと主張される自白調書の任意性について,担当した警察官,検察官,被告人の尋問をすべて行って確認していたのでは,裁判の日程は長期化することが必至である。そのような場合,可視化されていれば,簡単にそして確実なその判断材料がえられる。裁判員裁判にとっては不可欠なものだ。さらに不幸なことに菅谷さんのように過去の重大えん罪事件が明らかになって,取調の強引さが問題となったからでもある。

しかし,可視化によって,捜査官との信頼関係が崩れるとか,盗聴,おとり捜査などの別の捜査手法が容認される必要があるとか,司法取引,アレイメントなどの制度の実現との引き替えであるなどの論議がでて,可視化の導入を時期尚早であると導入を先延ばししているようである。偽りの捜査官との信頼関係での自白をえようとすること自体が誤りであるし,人権を侵害するおそれのある捜査手法が認められることがあってはならないし,司法取引などは別の観点から検討されるべきであって,取り調べの可視化とは関係のない問題であると思われる。

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