自殺者3万人

2010年1月27日

2009年の自殺者数が12年連続で3万人を超え、深刻な状況が続いていることから,政府部内にも「自殺総合対策会議」が設置されることとなったとの報道がなされていた。自殺の原因は単に貧困だけではない。学校・職場でのイジメ,仕事の悩みなどその背景は複雑である。その複雑な背景を飲み込む余裕が社会になく,一つの逃げ道のない枠組みができあがっている現代社会の病巣であると言って良い。自殺を防ぐ取り組みは,様々なところで多様な活動がなされている。「いのちの電話」の活動,路上生活者を支援する会の活動,カウンセリング活動など,その個々の取り組みはあるが,やはり,政府としての組織的取り組みがなされなければならない重要な問題であり,この深刻な事実の解決策を社会全体で考え,支えていかなければならないと思う。きょうのこの論議のなかで、「自殺社会」という言葉が使われていた。しかし、この言葉は自殺者を身近に抱えていらっしゃる方などにとっては耐えられない響きをもった言葉ではないかと私には思われた。テーマの言葉として使うにはデリカシーに欠けると感じたのであるが、どうだろうか。

毎年,岡山弁護士会では5月に憲法記念講演会を開催している。今年は,この自殺者が多数出ている問題を「生存権」の問題としてとらえ,シンポジュームをすることを決めている。きょうは,その第1回の実行委員会が行われた。一般的に自殺者の問題として考えるのではなく,法律専門家集団としてどのような関わりが持てるのか,そのことが見えてくるものでなければと思っているが,なかなか難しいテーマをとりあげたものだと思っている。次回の委員会で内容的にはさらに議論がなされるが,弁護士会としても,貧困問題に関わりながら,そこから見えてくる自殺者の問題にも取り組むべきであるという認識が増えつつあるといってよいだろう。

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