「イデオロギーとしての家族制度」

2010年4月15日

たちあがれ日本の代表,平沼さんが党の理念らしきものを述べていた。自主憲法制定,定住外国人の参政権反対,夫婦別姓反対,防衛軍の整備と並べて話していたが,ある意味主張は一貫しているがなんとも古式蒼然としたものではないだろうか。この話を聞いているときに,40年以上も前の学生時代に読んで,社会科学を学ぶということはこうした見方を学ぶことなんだと感銘をうけた川島武宣東大教授の「イデオロギーとしての家族制度」(岩波書店)のことが思いだされた。大学1年か,2年のときだっとおもうが,明確な記憶ではないがプロゼミナールを担当してもらった木元錦哉先生の推薦で読んだように記憶している。

人のごく自然な感情であり,伝統と文化のなかではぐくまれてきたと思っていた家族制度も,実は明治維新以後の混乱した日本を統治するために天皇制の基盤となる精神的背景として作用し,政治的意図の元に支配の道具として形成されたものであることが,克明な事実分析で述べられていた。家元制度についてもその同様な役割となっていることを,具体的な制度のなかで述べられていたのである。当時,目から鱗の気持ちでこの本を読んだ。歴史の流れのなかで,なお最先端の人権宣言といっていい日本の憲法のどこをかえようというのだろうか,天皇制の精神的基盤をより強くして,家父長制でも復活させれば,家制度の中で夫婦別姓など許されるわけではなく,人の交流が盛んになっているなか,日本民族だけで国家をつくろうというのだろうか,,,。しかし,彼の主張は一貫している。その意味では,石原慎太郎氏が背後にいるというのも理解しやすい。やはり,学生時代に若き石原慎太郎氏がオリンピックの選手が着るような胸に日の丸を付けたブレザーを着て「売国者という言葉はない。言うのであれば売国奴である」と誰かのことを声高に非難していたことを同時に思い出していた。大きくなるとは思えないが,こういう政党ができるのはとても嫌な感じがする。

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