「コンシューマーリポート」

2010年4月16日

アメリカで発行,販売されている「コンシューマーリポート」という雑誌にトヨタのレクサスのある車種は危険だとして販売しない方がいいという記事を掲載したそうだ。これを受けて,トヨタは一時販売を中止することを決定した。すばやい対応であった。消費者団体の発行するこうした雑誌の力を見せつけられたようであり,日本とはかなり背景にあるものが違うことを認識させられる。

15年ほど前に,アメリカに消費者教育をテーマに調査にでかけたときに,この雑誌を発行しているコンシューマーユニオンの事務所を訪問した。様々な商品テストを行い,その結果をコンシューマーレポートに掲載している。この雑誌が結構売れているのである。消費者はそれをみて,商品の優劣を判断して購入する。商品テストのための膨大な設備,人材を揃えていた。訪問したときは,スズキのサムライとかネーミングされていた車が横転する危険があるとテストを繰り返していた頃であった。商品の騒音調査をする無反響防音室を見学させてもらった。消費者団体がここまでの力をもって,企業・行政とも独立して活動ができていることを不思議に思った。そして,今回,日本でこの「コンシューマーレポート」の報告のニュースを聞いてその時のことを思い出したのである。

こうした,検査をするのは日本では国民生活センターがその役割をもっているといえるのだろうか。日本では消費者庁ができて,商品の安全に関することも消費者庁が各地の消費生活者センターなどからの情報を集約するなどの方法で実施することになっている。アメリカではそのことが民間の収益業務として成り立っているところに違いがあるといえる。この違いはどこからでてっくるのだろうか。二つの制度が対立的に考えられるのではなく,両方が必要なように思える。アメリカの医療保険制度への国家の関わり方も,基本的に国民の自己責任で制度の完結を図ろうとした根強い反対論があるのもこうしたアメリカの制度の背景にあるものの基本的な違いから考えられるのかもしれない。今日のニュースでは,共和党の医療保険改革に対する激しい巻き返しの運動がおきていることが報告されていた。

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