貸金業法改正完全施行

2010年6月18日

おもしろいニュースが流れていた。

「貸金業界では、貸金業法のみなし弁済規定を根拠に、グレーゾーン金利で営業して利益を得ていた業者が少なくなかったが、最高裁は2005年12月〜06年1月、この規定の適用条件を厳格にとらえる判決を相次いで言い渡した。07年7月には、規定が適用されないのを知りながら高い金利を取った業者に、利息をつけて過払い金を返すようにも命じ、全国の地裁で同様の判決が相次いだ。」
この事実経過は正しい。

ところが, 
「3月にあった判決で、過払い金の一部118万円の返還を認めたものの、利息の請求については「被告のような大手が要件を順守してみなし弁済の適用を目指したのは当然」として棄却した。その上で最近の傾向に言及し、「下級審が(最高裁判決に)いささか過剰に反応している」と指摘。「法律がみなし弁済の可能性を容認しているのに、司法が極端に要件を厳格に設定して、(みなし弁済規定を)事実上葬り去るのは異常事態で、司法ファッショと批判されかねない」と述べた。」とのコメントが報道されていた。

明日からの貸金業法の改正の完全施行をめぐり,様々な報道がなされている。そして,いくぶんこの改正はやりすぎであるとか,主婦の借り入れを制限するものでおかしい。やみ金を元気にさせる法律であるなどと批判的な論調である。年間20万人を超える人々がサラ金地獄に陥って自己破産宣告の申立をせざるをえない状況となっていたこと,そして毎年3万人以上の人が自殺に追い込まれその原因がクレジット・サラ金からの借り入れが原因であることもかなりの割合を占めていたこと,いまなお,多くの多重債務者が発生し続けてきている背景が忘れ去られた議論となっている。さらに,前記の裁判官の判断は,もともと貸金業法のみなし弁済の規定そのものが,利息制限法を超える利息の支払いが不当利得になるという最高裁の判例に矛盾する規定を業界擁護のために法的に一貫しない規定としたことを忘れた議論となっている。過払い返還を認める最高裁判例は,法的解釈としての一貫性を貫いた当然のものであったのである。こうした被害の実態とあわせて司法の果たした役割をきちんとみるべき目をこの裁判官にはもっていてもらいたい。

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