千葉法務大臣が死刑執行

2010年7月29日

死刑が執行された。千葉さんが法務大臣であるかぎりはきっと死刑執行はないと考えていた。前から死刑制度には反対の立場をとっていたからだ。しかし,法務大臣である以上,現行法制の否定はできない。だから黙って任期の終わるまで死刑の執行をしなければ良かったのである。自分の信念の表し方が,結果的にみるとほんとにその信念があったのだろうかと疑わざるをえない。

とはいえ,死刑制度については,国民の80%以上が賛成しているという現実がある。死刑制度の存否は多数決で決めるべきものでもない。国会議員のなかでも死刑廃止論者は少数である。これが多数を占めていればとっくに死刑制度は廃止されている。にも関わらず,党派党略で民間人の大臣がすべきことでなかったなどと千葉法務大臣を批判している。そう批判している人が死刑制度の問題にいままでどのように関わってきていたのだろうかと考えるとこれまたおかしな話だ。もともと死刑制度が日本の法制度として存在し,死刑判決がなされている以上,普通に考えれば法務大臣が死刑執行するのは当然だからである。私は,千葉さんが信念をもった法務大臣であると思っていたからこそ,失望したのである。死刑廃止,あるいはただちに死刑制度の停止などが具体的展望がもてる仕組みをつくって辞めるなら,まだ怒りは収まる。

私は,死刑は廃止されるべきであると考えている。まずは国が殺人を犯してはならないということである。これは法律の問題ではなく信念の問題であり,現代国家の理念としてあってはならない制度である。憲法上の問題でもある。現実的な場面では,誤審の問題として取り上げられることもある。日弁連は,直ちに死刑を停止し,検証すべきであると提言している。国会がもっと真剣にとりくむべき問題である。千葉法務大臣を非難だけして終わる問題ではないはずである。

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