「適格消費者団体」

2010年8月31日

消費者庁の職員にして「こんな奇特な人々の集まりがあるとは,この部署にくるまで知らなかった」と言われた適格消費者団体について昨日の続きで簡単に触れておく。消費者契約法の中に規定されているもので,条文の数としては,その法律のほとんどがこの適格消費者団体に関連する規定となっている。もちろん,10条程度しかない,消費者契約の取消,無効等に関する規定がこの法律の神髄であることには違いはない。

消費者被害は,一人一人の被害はあまり大きくないが,その被害の数は多数に及び,その被害のトータルは巨額のとなる性格をもっている。一人一人では,その被害回復のために法的手続きまでは経費的に諦めざるをえない場合が多い。悪徳商法のし得という結果となることが多く,そのため,そうした被害が繰り返されると言う結果になる。そこで,多くの消費者を代表して,消費者契約法などに反する商法や,約款を使用している取引を差し止める訴えを起こすことができるという制度がある。この差し止め請求のできる消費者団体を消費者庁が認定していて,認定を受けている団体を「適格消費者団体」と言われているのである。重要な役割を果たす団体であり,その訴えの影響も大きいことから,この適格消費者団体の認定を受けるには,人的,物的の基盤があり,差し止め請求をなしうる専門性と組織を必要としていることからかなり条件は厳しい。現在まで,この認定を受けた消費者団体は全国で9団体のみである。岡山では,この認定をめざしている「NPO法人消費者ネット岡山」があり,私は理事長の役割を担っている。ほとんどボランティアでなされていて,それ故,「奇特な人々の集まり」と評価される。

現在,消費者庁を中心として,差し止めだけでなく,少額被害の消費者の被害回復のために消費者を代表して集団的に消費者被害を回復する制度が検討されている。この訴訟も適格消費者団体が担うようにするという制度設計が検討されている。消費者被害の発生を未然に防止する差し止め請求ばかりではなく,被害回復にも役割を果たそうとしていることになる。この奇特な人々の集まりは,消費者取引に関して極めて重要な役割を担うことになる。このような団体を,設立までにかなり厳しい条件を課すだけで,なんらの公的支援もないというのが現在の状況である。

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