DV

2011年2月16日

きょうは,DVに関連する相談が2件重なった。1件の事件は,10年を超える期間におけるDVの問題を抱えた内縁関係の継続の相談であった。今では完全に関係は切れているが,交際の間の相手方の誠意のない虚偽でかためられた生活であったことが許せないとまで思うようになっていた。しかし,ここまでくるのに長い年月を要している。もう1件も気持ちは既に離れている。生活実態についても既に清算ができた状態であると言って良い。しかし,DVからそうなるまでのなんと無駄な時間を過ごすことになっていたか。

夜は,ワイズメンズクラブの例会であった。今日のスピーカーは「ピア」でDV問題,性教育問題に取り組んでいるメンバーの上村医師とその若者グループの話であった。ピアは英語ではなくフランス語のようであり,「仲間」などを意味する言葉のようである。若者の間でいまや深刻な問題となっているデートDVを防ぐ活動をしている。上から目線で教えるのではなく,ピアとして同じ目線にたって,その心情を共有して理解できる立場で話を聞き,問題点を考え,そこから解決する力を引き出していくということである。対象者にべったりと寄り添うわけではないが,同じ立場で共感もしながら,指導していくという方法である。こうした姿勢は我々が相談者から事情を聞き取る場合にも参考にすべきことである。相談者に,相談の内容に法律を当てはめて回答するのは楽である。多くの場合は,相談者も法的にはどのような結論なのかもわかって相談にくる。しかし,それでも相談者の気持ちを良く聞いて,時にはその立場に十分に共感しながらも,この社会での振る舞い方をアドバイスすることになる。最初から,法的な結論だけを話したのでは,何の解決策にもならない。ピアでないものが,もともとピアとして意識されない立場のものがピアとなろうとしても無理があるが,仲間に近づいて理解するという姿勢は,必要なのだろう。

きょう,参加してくれた「ピア」の皆さんは,この4月から学校の保健室の先生となっていく予定とのこと。こんどは,ピアとなりきれない立場で,生徒の相談役になっていく。DVを予防できる,DVをいちはやくDVだと気づくことのできる子どもたちを育てることに意義をもっての進路の決定。この「ピア」のいる学校の保健室は,きっと生徒達の笑顔のたまり場になっていくに違いないと期待している。

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