論議沸騰定期総会

2006年5月26日

午後1時から岡山で日弁連の定期総会が開催された。予想通り、最初から激しい論戦となった。通常の定期総会は昨年度の活動報告、昨年度の決算承認、今年度の決算承認としゃんしゃん大会で進むものである。ところが、司法改革の大胆な変革のなかでの弁護士をめぐる制度的変革は、多くの会員が弁護士の基盤である弁護士自治と職務の独立に危機感を持ち、そのことが司法改革の評価について意見を異にすることになり、ここのところ常に激しく意見を闘わせることが常となっている。rnrn議長は、岡山弁護士会の田淵会員が担当した。綿密に練られた議事進行のシナリオに従い、たんたんと議事を進められた。しかし、もともとこのように淡々と議事を予定通り進めることをよしとしない気概が当会(岡山弁護士会)にはある。中弁連大会は常に実質的に論戦が張られ、いつもひとつの議題が否決されるのではないかと執行部をひやひやさせることになる。わたしも15年ぐらい前の中弁連大会において、岡山弁護士会提出議題に対して反対意見を述べ、ついに否決に追い込んでしまったことがある。2年前の中弁連大会では私が議長をつとめ、イラク派兵撤退決議(あえてもめる議題を選択)を日弁連会長まで意見を言わせて、「議長!横暴」などというヤジのなか議決に持ち込んだこともある。こんな気風の岡山弁護士会の田淵会員は「十分に論議を闘わせて欲しい」とあいさつしながら、しかし予定時間には終えたいとのユーモアある挨拶で議事が開始された。rnrn一般会計予算は約40億円の収入、支出であったが、法テラス関連の予算をめぐっていきなり司法改革の評価に関して意見がでた。こんなところから意見がでるようであれば、本題にはいったときはどうなるかと思わされた。本題にはいって司法改革実現宣言には、司法改革そのものの評価、法テラスが弁護士の職務の独立性を失わさせるものであるとの立場から反対意見がでた。日本の外交がアメリカの力で独自性を失ったと感じる無力感と同様、司法改革も時代の荒波に飲み込まれて弁護士自治に大きな変革が訪れている抵抗しがたいもののなかで、日弁連の取りうる最良の道を選択するというあきらめのような感覚を否定しがたい状況で、このような反対論にはシンパシイを感じる。でも否決するわけにはいかない議題である。未決拘禁問題も同様な背景がある。すでに参議院で審議がなされていて、法案として成立することは確実な情勢である。世界に恥ずべき代用監獄が維持されることが確実な状況となっているなかで、将来的に廃止への展望を探って最大限努力するしかない。反対とだけ唱えても何の価値ももたない。こんな気持ちからこの議題にも賛成した。rnrn議長は、強引に発言者を制限して議事をすすめたが、老かいな整理にさして抵抗もなく苦笑がもれながらも無事に進行していった。あとの2題は最高裁判例まででている出資法金利を利息制限法金利への引き下げを求める決議、弁護士を依頼者の密告者とするゲートキーパー法に対する絶対反対の決議であり、これらは全一致で可決され、無事にすべての宣言、決議が採択された。最後に議長は、会長に対して反対意見の意図するところにも充分に耳を傾け、頑張って欲しいと退任の挨拶を述べた。これで、日弁連もさまざまな意見を抱えながらも社会正義の実現と人権擁護という向いている方向は一つであり、そのことのために論議を闘わせ、一致して前に進んでいけるという基盤の確認ができたのではないかと思った。

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