首相の靖国参拝最高裁判断

2006年6月24日

今日は、戦後61回目の沖縄慰霊の日である。首相も参列して行われた。そして、最高裁判所では首相の靖国参拝に関して、上告棄却の判断がなされ、違憲判断はなされなかった。rnrnこの裁判は、首相が宗教施設である靖国に参拝することは国民の信教の自由を侵害するものであって、慰謝料を支払えとの裁判を求めていたものである。しかし、首相の靖国参拝によって、信教の自由が侵害された訳では無いとの論法で、首相の靖国参拝に関して最高裁判所はその憲法判断を避けた。rnrn憲法98条で、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の全部または一部は、その効力を有しない」とされていて、憲法の最高法規性を唱っている。司法における最終的な判断を最高裁判所が行うことによって(憲法81条違憲法令審査権)、この国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義を基本原理とする憲法があまねく社会の支配を実現する仕組みになっていて、このことによって「法の支配」が実現される。rnrnしかし、戦後日本国憲法が施行されてから現在まで最高裁において立法が違憲であると判断されたのはわずか6件・5種類だけである(適用違憲を含めても10件に満たない)。司法試験を勉強している人ならただちにこれらの判例をあげることができる。同じ様な憲法の構造を持ち、戦後の反省のなかで司法改革を実現したドイツにおいては500件以上(1990年頃の統計)の違憲判断が裁判所においてなされている。お隣の韓国では憲法裁判所があり、積極的に法令などについて憲法判断がなされている。司法が「法の支配」を実現するために大きな役割を果たしているのである。日本の場合のその役割とは格段の違いがある。今回の首相の靖国参拝に関しても、あえて憲法判断に踏み込まず、門前払いの判決となっている。機能する司法への改革が今回の司法改革の目標のひとつであるべきはずであったが、この点は全く従来と変わっていない。

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