執行猶予

2006年12月27日

「被告人を懲役3年に処す。」少し間をおいて「この刑の確定の日から5年間その刑の執行を猶予する」と続いた。被告人の顔には笑顔というより目をしばたかせ、神妙に裁判官の判決に聴き入っていた。まさに実刑ぎりぎりの判決であった。執行猶予判決は3年以下でしかつかないし、猶予期間は5年が最大であるので実刑との差は紙一重ということである。傍聴にきていた家族関係者たちも一様にほっとした表情となった。rnrn逮捕から判決まで約2ヶ月で公判は3回目での判決であったので比較的円滑に進行することができた。問われた罪は殺傷能力の高いピストルの所持で、前に執行猶予中の前科もあるというのであるから、執行猶予が付されるのはきびしい状況ではあった。しかし。前刑と今回との間には被告人が暴力団を抜けたという大きな事実があった。裁判官はにもかかわらずなお銃を廃棄せず持ち続けていたことに疑問を抱いていたようであるが、「今回はあなたにかけてみる」と2度にわたってその言葉を発していた。暴力団を抜けたとはいえ、もと組の幹部であったものである。なかなか完全に関係を断ち切ることは非常な困難があるだろう。生まれてくる子どものためにと組をぬけることを決意したそうだ。5年間は長い。この5年間に完全に社会復帰を成し遂げて欲しい。県外の人であり、知人の知人を通じての依頼であり、被告人とは接見室でしか話したことがない。2度と会うことはないかもしれない。もしかすると弁護するにあたりなにか私が騙されていた事情があるかもしれない。そうなった事件も過去にはある。しかし、弁護人はいつも被告人の前向きな言葉を信じて弁護する。この被告人は裏切ることはないだろうと。

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