「阪神支局襲撃事件」でシンポ

2007年4月29日

この6月から消費者契約法の改正法が施行となる。つまり消費者団体訴訟が現実のものとして動き出すのである。岡山でも消費者団体訴訟を担うことのできる団体を目指して活動しようと準備を進めている。午前中はこの団体の設立準備のための打ち合わせ会を行った。

午後から朝日新聞社主催の対談「みる,きく,はなすはいま」を聴きに阪神支局の近くにある西宮市立勤労会館に妻とでかけた。阪神支局襲撃事件がおきてちょうど20年目になる。江川紹子さんと朝日新聞論説副主幹の臼井俊男さんとの対談であった。阪神支局襲撃事件の意味していたことと現在の言論状況を対談で明らかにしようというこころみであった。「みる,きく,はなすのいま」はこの事件がおきた直後から,朝日新聞が毎年特集記事を連載していて,最初の連載に私のカルトによる業務妨害事件が取り上げられていて,家族をも巻き込み一緒に闘った妻とこの事件との関わりを忘れることができないためでかけたのだ。

江川さんへの妨害事件について体験が話されたが,話された2つの体験はまさに私の場合と重なっていた。江川さんは,消費者問題としての霊感商法を新聞記者として扱うなかで統一協会側からの激しい妨害を受けた(臼井さんは,当時朝日ジャーナルの記者として霊感商法を追っていた)。私も同様に弁護士として統一協会の霊感商法の被害救済を始める中でおきたことであった。そして,その取り組みはオウム真理教へとつながった。それも共通していた。今の言論状況ついては,加藤紘一さんの実家の放火事件,長崎市長射殺事件など言論に対して社会全般に重い空気があることが指摘されていた。私も同感である。こうしたテロに対して断固とした姿勢を示すという時の政権側からの態度が伺われないのである。この流れに抗するような発言にはある種のレッテルが貼られて非難される。世間もこれを認めているような雰囲気がある。こうした言論を封圧しようという動きには厳として変わらぬ姿勢を示していくことが言論に対するテロを抑えることになるのだと朝日側の決意が述べられていた。江川さんは朝日新聞に対して被害者としての声を上げて国民に救済をお願いする態度も必要ではなかったのではと指摘し,そしてこれに対して私たちが応援していくことが必要であると言われていた。弁護士の場合は組織で仕事をするわけではないので,個人で闘うのは常に困難が伴う。新聞はこうした小さいと思われる被害にも十分に耳を傾けて,応援して欲しいと思った。私の場合,共同通信のT記者がこれは問題であると大きく全国に発信して報道していただき,当面の妨害行動を止めさせる役割を担っていただいた。報道の力の大きさを実感した。

この対談の終わったあと,事件のおきた阪神支局に寄った。事件の資料室があり,銃弾,犯行声明,銃弾が体にはいった状況が撮影されているレントゲン写真などが展示されている。事件を目の当たりにみるような迫力が伝わる。朝日新聞の人たちが,この事件にとことんこだわり続けている意味を今日は知ることができた。たとえ,刑事事件としては時効となっても,言論に対するテロは,言論を変えることなく主張し続けることの大切さを常に強く問い続けるジャーナリズムでなければならないとの変えてはならない決意の表れなのだ。
江川さんのルーツは岡山県の津山市であり,お父さんも存じ上げていて,取材を受けたりしたこともあったり,岡山で講演をお願いしたりしたこともあったのでお話をさせていただいたことも何度かあった。久しぶりに遠くから見た江川さんはテレビでみるよりスリムになられたかなと思ったが,,,,,。岡山のおいしいワインでもおみやげにお持ちするべきでした。

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