日弁連の委員会に出席するために朝一番の飛行機便で上京し，最終便で帰ってきた。少し会議の始まるまでに時間の余裕があったので，羽田からは京急電車に乗って新橋にでて，新橋から霞ヶ関の日弁連会館まで日比谷公園を抜けて歩いて行った。日比谷公園へは交差点角の交番から日比谷公会堂の古い建物の前の方を通って入っていく。「日比谷公会堂」という名称は幼いころから耳から聴いて良く覚えていた。だから相当に古い建物に違いない。テレビもないころ，ラジオから流れてくる「３つの歌」という番組でいつも「日比谷公会堂からお送りいたしています」とアナウンサーが言っていたからである。テレビもないころ，もちろん新幹線もなくまだ蒸気機関車が残っていた時代ではなかったろうか。東京がどんなところかも想像だにできないころであった。しかし，東京には「日比谷公会堂」という大きな建物があるということだけは想像できていた。「日比谷公会堂」という響きは，この小さいころのかすかな記憶を呼び起こすのである。
新橋から日弁連会館まで歩いても十数分程度である。これが暑い夏の盛りであれば今日のルートは決して考えなかったであろう。気候はしっかりと秋の風を感じるようになっていたのである。都会の森のような存在となっている日比谷公園の中をあるいていると夏の間にジー，ジーととてもうるさく鳴いていた蝉も，ほんの数匹のツクツクホウシがよわよわしく鳴いていただけであった。酷暑の夏もいまやしっかりと秋へと移っていっていることを実感し，ずいぶんと古いかすかな幼いころの情景が思いだされながら日比谷公園を抜けていった。
目的の会議は，裁判員制度への取り組みの現状はこれでいいのかと言う観点からの検討，きょう法科大学院卒業生の司法試験結果が発表となっていたが，司法改革の流れの中で大幅増員となってきている弁護士の２１世紀のあるべき姿の提言のまとめ作業などが行われた。それぞれあまりにも大きなテーマであり，どのようにまとめることになるのかまだまだ課題が多い。
Ｐ．Ｓ
３つの歌テーマソング「３つの歌です。君も僕も、あなたも私も朗らかに。忘れた歌なら思い出しましょ。みんな元気に歌いましょう。」今でもメロディと一緒に思いだせる。