訴訟がすべてではない

2007年10月29日

事務所にでると弁護士会からファックスがはいっていた。会員の死亡の連絡である。私と同年配の団塊の世代に属する弁護士で,次女と同級生のお子さんがいる。主義主張は私とは異なるところがあったと思うが,結論においては一致することが多く,親しくしていた。午後からの土壌汚染シンポジュームに参加して早めに帰宅し,通夜に参列してきた。さびしいことであるが,こうして団塊の世代も減少していくことになる。まだ,残された人生でいっぱいできることがあると楽しくこれからのことを考えることがあるが,もう最低限家族に対する責任は果たし終えたのでいつ人生を終えてもいいかななどと考えてしまう複雑な年代なのかもしれない。

午後からのシンポジュームは,依頼を受けている事件に関してのシンポジュームである。日本最大の土壌汚染だろうと学者から言われている住宅地の汚染問題である。県外からも参加者があり,学者からの全国的に土壌汚染が広がりつつある実態が報告された。前に「マチベンの1円訴訟」について書いたが,今日も同じような議論があった。訴訟で損害賠償請求をしているが,決して金銭の要求が目的ではない。安心して暮らせる環境を確保できればそれでいいのである。しかし,そのためには汚染者,汚染された土壌を売却した会社の責任を明確にしなければならない。今回の訴訟はその責任を明確にするための訴訟である。訴訟で損害賠償請求になるのが居住者にとっては気持ちとしてしっくりこないのである。もう一つは,団地の人の結束である。今回の訴訟起こした一人は,相手方との交渉よりも難しいのは住民の一致した行動をとるということであるとしみじみ言われていたのが印象的であった。今日のようなシンポジュームなどをきっかけとして住民の皆さんが少しづつ一致団結していくことが,この裁判を処理する条件ではないかと思っている。

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