国選事件それぞれに

2008年2月27日

昨年の暮れから3ヶ月にわたって2名の司法修習生を担当している。日頃からあまり刑事事件の手持ちがなかったため,この司法修習生の研修用にと2件の国選事件を担当することにした。2件の国選事件は偶然に同じ裁判官の担当となっていて,明日,2件とも公判期日がはいっている。1件は2回目の期日であり,情状証人を調べ,結審の予定である。もう1件は,初回期日となっている。これは追起訴まちで,さらに次回に期日がもたれることになる。そして,この2件についてそれぞれ準備をした。

結審予定の事件については,被告人の両親,被告人の婚約者との打ち合わせであった。被害弁償にてがついていない状況であるが,この婚約者の存在が,被告人のこれからの社旗復帰に大きな力となっていくであろうことが予測され,執行猶予となる可能性を強くさせている。一方,もう一つの事件は,今回,被告人が逮捕されることによって,妻があいそを尽かし,子供を連れての離婚の決意を強くしている。もう,被告人には全く関わりたくないという態度を示しているのである。私のところで数年前に債務整理をし,人生の出直しをしたはずの後のことであり,もう関わりたくないという妻の態度にも十分に理解ができる。この被告人の場合,反省の決意が見えたとしても,今後の社会内での生活で再犯に陥る危険が高く,実刑になっていく可能性が強いと判断される。新しい家族を迎えてやり直そうとしている被告人,妻,子供から見捨てられるようにして今後の再出発を考えなければならない被告人のそれぞれの未来には大きな違いが出てきそうである。この被告人とは,接見して今後のことについて方針を打ち合わせたのであるが,子供に対する責任を口にするその言葉にむなしさが漂っていた。

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