妻の持ち分2分の1

2008年5月23日

家事調停セミナーがあり,元岡山家裁所長であった方の講演があった。家事調停委員,裁判官,弁護士らが参加し,弁護士会館のホールが満杯という盛況であった。今日の講演のテーマは財産分与であった。

財産分与をめぐっては,事件を担当するごとにいつもそれぞれに異なった事情を突きつけられ,双方が納得するための理屈を考えるのがむつかしいものである。夫が家をでて,第三者と暮らしている時に離婚となったが,ローン支払い中の家を財産分与するときはどうしたらいいか,幼い子どもがまだ妻と居るとき,それがオーバーローンであるとき,妻も働いて収入があったとき,別居中になんら婚姻費用を負担してこなかったときなどケースが違えば,その扱いは異なってくる。財産給付によって「離婚」を踏みとどまらせる作用をもたらすことはできない。もはや,「離婚」も一つの人生の選択として考えておかなければならない時代を迎えている。講演の内容は,こうした複雑な問題処理にいろいろとヒントをいただき,日頃悩みながら処理していることの意味を整理していただいたような気がした。

現在,民法の改正の検討がが政府部内でなされ,法曹関係者による調査,研究がすすんでいる。そこでの考え方の基本は,夫婦の財産は,明確に2分の1であるということが前提で組み立てられているということである。そうした法改正の将来の方向性が,現実の現在の調停のなかでも解決の指針となりつつある。専業主婦でも確実に夫の財産に対して2分の1を主張できるのである。夫が働いて,その収入で財産が形成されていれば,2分の1は相続の問題が生じる前に既に現実の所有をしているとみるべき処理のようである。妻側からみれば,このことは当然のことではあると考えるかもしれない。しかし,具体的処理をめぐってはそう簡単にはいかないのが現実である。

さて,我が家は,今住んでいる住居の名義は妻のものである。離婚をするなら,2分の1は私のものなので,精算しろと言えるのだろうか。まあ,夫婦は別れることを前提に一緒に暮らして居るわけではない。こんな問題が,一生,顕在化しないことが一番である。互いの財産関係は,曖昧にしていても何の問題も起こらないはずである。

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