大学の授業

2008年5月27日

法科大学院の授業参観にでかけた。私も「消費者法」の講座を持っているので,関連のある民法ではどのような授業がなされているのかみてきたのである。定期的に弁護士会の法科大学院支援委員会が企画して実施しているが,初めての参加であった。

こうして,大学の教室で法律の講義を聴くのは,40年ぶりぐらいのことである。今日の講義は,民法の無権代理,表見代理のところであった。私が勉強してきたころの学説を「我妻説に代表される伝統的民法理論」と過去の古い考えであるかのような紹介がなされていた。そして,今日の講義のところで紹介されていた最高裁判例は,私が司法試験に合格したときの択一試験に出題されていたことを思い出された。既に40年近く経過しているので不正確かもしれないが,試験直前に新しい最高裁判例をチェックしていたら,それを問う事例が出題された記憶があるのだ。久しぶりの学生気分を味わいながら,司法試験の受験のころも思い出されていたのだ。

私のころの民法の勉強方法は,我妻先生の民法講義シリーズを年2回は通して読みこなし,あとは勉強仲間とのゼミであった。合格するまでに3年を要したので,最低6回は読みこなしている。しかし,今の学生の受けている講義の水準は,法科大学院の講義としてかなりレベルが高いと思われた。授業のなかでの判例の取り上げかなり緻密になされていて,まさに実務と研究とのかけ橋となっていることを実感したからだ。1コマ参観しただけなので,評価はできないが,もしからしたら,実務ばかりに眼が向いて,学問的立場が低く見られているのかもしれないと感じた。確かに判例も変化してきているが,私の学んだ「伝統的民法理論」からも説明のつかないことではなく,何のためにそのような解釈の立場にたつのかその理由の思考の不足があるのではないかと思われたからである。

こうして,内容のある講義を受け,そのための事前準備,その後の課題を与えられてハードな毎日を過ごし,それでも半数ぐらいしか,司法試験に合格しないとなると,頑張り続ければ合格できた我々の頃よりもむしろ気分的ハードルが高いのではないかとも思う。

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