4年目の破産終結

2008年6月20日

思いがけなく交通事故にあって,瀕死の重傷を負った。驚異的に回復したものの,手足に障害を残してしまった。その身体と引き替えに多額の損害賠償金が支払われた。身体の不自由があってもできる仕事をとその賠償金を元手に小口金融業を始めた。高金利,厳しい取り立てと過剰貸し付けによってこの業界は利益を上げてきた。普通の人がなかなかやれる仕事ではない。やがて暴力団関係者とのつながりもできた。

貸付先の中小企業や個人が次々と破産になるなど,資金の回収は困難となってきて,厳しい状況となり,その資金を暴力団関係者に頼るなどした。しかし,こうした資金を導入して決して成り立つわけもない。すぐにでもお金を必要とするこんな窮状につけ込み,出資話が持ち込まれ,結局詐欺被害にあい,さらに大きく傷口をあけることになった。暴力団関係者から激しく追い込みがかかっていたそんな時,私の所に相談があった。4年前のことであった。

私の事務所に来るのを待ち伏せして,法的手続きをさせまいとしたり,手続きを取り下げるよう強要があったり,依頼者と相談中に事務所に来たりして警察を呼ぶようなことがあった。普通は,法的手続きにはいっていれば,それを無視することはほとんどない。しかし,このケースは違っていた。

今日,破産手続き終結の債権者集会があった。暴力団関係者がくるなどの混乱も予想されたので,裁判所には警備をお願いし,債権者と接触しないで法廷に入れるよう事前に裁判所に配慮して頂いた。その債権者は出頭せず,代わりに代理人である弁護士が出席していた。おそらく,その弁護士も混乱なく終結できるよう,債権者が法に従って対応するよう,かなり苦労された結果ではないかと推察した。とにもかくにも,破産手続きは終結することができた。多くの裁判所の職員の方が警備に当たって頂いて申し訳ないことではあった。しかし,まだ免責に関して異議が出るのは間違いないことである。もう一踏ん張り,問題解決のために山場がある。依頼者は,おびえながら参加した債権者集会であった。「先生,迷惑をかけます」と言って,表情は硬いままであった。免責決定が無事降りることになれば,笑顔が現れるだろう。

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