欠陥住宅問題は消費者問題

2008年7月22日

明日は,全15講の消費者法講義の14講で,最終は試験だから実質最後の講義となる。テーマは医療過誤訴訟と欠陥住宅問題である。前回の最後に,この2つのテーマは消費者問題なのですかと聞きにきた学生がいた。業者側の極めて高い専門性,特殊性が消費者問題としての認識を遠ざけているだけであり,消費者問題の特質を備えている問題である。

1995年1月17日におきた阪神淡路大震災では,新しい建て売り住宅の立ち並ぶ一角のすべての住宅が同じ方向に傾いて倒れている光景があった。住宅の崩壊によって,圧死した被災者の方もたくさんいた。一生に一度の大きな買い物で,ローンを使って手に入れたものが一瞬のうちに倒れ,それが人の命を奪い,ローンは残ったという悲劇は珍しくなかった。姉歯建築士耐震偽装問題は,建物に対する安全性の信頼を一挙に失わせてしまうものであった。重層的な請負形態が通常となっているこの業界では,責任体制が曖昧になっている。そんな背景での欠陥住宅問題である。法的構成においてもなかなか困難な問題を抱えている。私の今担当している事件でも瑕疵補修に代わる損害賠償請求をどのように構成していこうかと主張整理を迫られている事案がある。

こうした資料整理をしているうちに,阪神淡路大震災のおきた時のこと,姉歯建築士耐震偽装問題を知ったときの様子が思い出されていた。耐震偽装問題の時は,実はパリに旅行中であった。帰りの飛行機のなかでニュースをみて,大変な騒ぎとなっているようであったが,途中からのニュースでは何がおきているのか理解できなかった。わずか1週間ぐらいの展開で大問題となっていたのだ。あれほど騒がれた事件,被害者の方々はどのように現在は生活されているだろうか。失ったものが大きかっただけに,現在の生活への影響は深刻なのではないか。そんなことを見据えながら,消費者問題として講義してくるつもりである。

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