エクスターンシップ

2008年8月28日

岡山大学ロースクールのエクスターンシップを現在受け入れている。何日かに分けて合計10時限を担当することになっている。我々の場合は,実務につくまでの間,大学でのエクスターンシップのような実務を経験する制度はなかった。司法試験に合格した後,2年間を最高裁が管理する司法研修所にはいり,その間に検察庁,裁判所,弁護士会と配属されて,実際に実務を体験して学んだ。現在の制度ではこの司法修習は1年間となっている。ロースクールでの単位取得で,まかなわれているということと,実務を学ぶのは仕事に就いて,仕事をしながら学んでいけばいいという考えだ。

しかし,ロースクールでのエクスターンシップは,とうてい司法修習のレベルでは行えない。まだ,ロースクールを卒業したわけでも,司法試験に合格したわけでもない状況での実務との接触であるから,どうしても中途半端である。司法修習では検察庁では現実に取り調べをしたり,裁判所では判決起案を書いたり,弁護士会では,指導弁護士と共に事件処理を現実に体験する。エクスターンシップのように周りから見ているだけとは内容が大きく異なる。エクスターンシップの存在で司法修習が短くしたのであれば,それは全く理にかなっていない。

ロースクール卒業生の質の問題が指摘されている。最近では,最高裁も司法試験採点結果から,質が低下しているのではとの指摘をしている。ロースクールの理念は,あるべき法曹教育を示しているのかも知れないが,現実は各大学がいかに司法試験合格者を多くだすことが目的化し,そのなかで,数字的に合格者の数字だけを達成させようとしていることが,質の問題を起こしているように見える。質を下げて,合格者数目標を達成しようとすることは,司法への信頼を失いかねない問題を抱えている。そして,それは利用者からすれば,人権が適切にまもられないことに繋がってくる。ロースクールのあり方について,しっかりと検証されるべきであると思える。

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