これが人質司法

2009年1月30日

10月下旬に起訴された事件である。逮捕されて処分保留で釈放になり,その釈放のその場ですぐ逮捕されて20日間の勾留の後の起訴であったので,最初の逮捕から40日以上を経過していた。そして,12月下旬に追起訴,まだ追起訴予定とのことである。その追起訴は3月もなかごろになるとのことである。被告人は完全に否認している。当然接見禁止が続いている。弁護人と会う以外は,手紙も外部との連絡はできない。追起訴完了までは裁判も始まらない。狭い拘置所のなかで孤独で不安な毎日を送らなければならない。逮捕されてから公判が始まるまで半年以上の期間を要することになるのである。

この事件について,裁判所,検察官,弁護人との打ち合わせがきょうあった。捜査の一日,一日がその人の人生の貴重な一日一日をつぶしていると言う認識が捜査官側にも裁判所にもない。打ち合わせののんびりとしてたんたんとした雰囲気のなかで,予定が漫然と語られることに強いいらだちを憶えた。今の刑事裁判の制度のなかでは弁護人としてもどうしようもない事態だからだ。既に起訴になり,対等な当事者として対決の構造となっているにも拘わらず,まだ任意の取り調べをしたようだ。そのことも異議を述べておいた。

公判前整理手続きに付して進められる予定とのことであるが,始まれば弁護人にとって,厳しい準備に追われることになりそうである。この点においてはしばし嵐の前の静けさであろうが,このように長期に拘束されている被害者の心情を考えるとこのような刑事裁判のあり方に怒りのような感情がわいてくる。結審して,良い結果となるのはほぼ確実な事件があったり,示談ができた事案があったが,きょうはこの刑事事件のことで,すっきりしない一日の終わりとなった。

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