ボウリング・フォー・コロンバイン

2006年9月7日

今日も倉敷での用務があった。ここのところ連日の倉敷である。倉敷市役所での法律相談を担当した。午後1時から午後4時までで、予約の6人を担当した。先日、離婚の際の年金分割の研修を受けたばかりであったが、ひそかに夫との離婚を考えその準備をしている人の相談があり、早速仕入れたばかりの知識が役立った。確かに、新しい制度は女性にとって離婚を決断しやすくする制度かもしれない。rnrn午後6時からは岡山地裁で医療裁判に関する専門委員制度に関する意見交換会があり、弁護士会側のメンバーとして出席した。弁護士、裁判官の他に専門委員の先生方にもご出席いただいて運用の問題点についてざっくばらんな意見交換をした。専門委員制度は医療裁判の場合、難解な専門用語や素人にはわかりにくい論文などが利用されたりして、なかなか争点を整理しにくかったり、誤った理解から鑑定内容がさだまらなかったりすことがあるために、その理解を助ける範囲でアドバイスを受ける制度である。私も専門委員が選任された事件の経験がある。専門委員が単なる説明の範囲を超えて鑑定意見にわたる説明にはいることがあり、その利害、影響、記録の仕方と活用方法などについて意見交換がなされた。私は、医療過誤裁判ではいつも患者側で裁判をしてきた。その立場でいうと単なる用語の解説に終わらないで、鑑定的な意見に入るときはその意見に裁判官が大きく影響される恐れがあり、また専門委員といっても医師であり、医療側に有利に働く危険が大きく、専門委員は最小限の説明に留めるべきであるとの意見を述べた。この制度は平成16年から実施されているが、制度の企画段階から議論されていたことである。今日の意見もこの点に集中していた。ただ、説明と意見との境界が専門分野になれば区別しにくい実態もあり、訴訟当事者が納得しながら利用していくという現状を尊重しながら使っていくということか。rnrn帰宅してBSで「ボウリング・フォー・コロンバイン」を観た。アメリカでの高校における銃乱射事件に関するドキュメント映画である。この事件はアメリカでは銃を持っている人が多い、黒人などの貧困層の存在、原住民との暴力による戦いの歴史などのアメリカの背景事情が引き起したと一般的には評論されている。しかし、この映画の監督は、銃の所持率はアメリカよりカナダの方が高く、失業率もカナダの方が高いのになぜカナダでは射殺事件は少ないのか、ドイツではすさまじい暴力と虐殺の歴史を持つのに射殺事件がどうして少ないのかと疑問を提起する。そして、デトロイト市とデトロイト川を挟んで対岸にあるカナダのウインザー市との対比をしてみせる。アメリカでは黒人などたくさんの異人種がいるというがそれにおとらないほどの有色人種がウインザー市に住んでいる。その街では3年に1件しか射殺事件がおきなかった。その1件もデトロイト市民の引き起こした事件であった。家に鍵をしないことはアメリカでは考えられないがウインザー市では鍵をかける家はほとんどない。この違いはなんだろうか。銃乱射事件はどうしておきたのだろうか。アメリカでは常に何かにおびえるように武装している。次々と不信のなかで敵ををつくり、安全のためと攻撃していく。テロ対策と称してイラクに戦争をしかけ、武力で制圧し、なおその影におびえビクビクとすごしている。その恐怖感が他への攻撃となって表れる。監督は9.11の背景をそのように考えているのであろう。9.11が近くなった。そのことを考える映画であった。rnrn実は、私もこのデトロイトとウインザー市との違いを18年も前のことであるが実際に経験した。当時デトロイトでは日本バッシングがあり、不況のまっただ中にあった。大きなビルがそびえ、その一角の高層ホテルに宿泊したが、夜の外出は治安上の理由で止められた。固いコンクリートで固められた無機質な暗いイメージであった。売り家の看板のある家があちこちにあった。昼間からビルの前で飲んだくれている人が何人もいた。向かいのウインザー市にいくと人々がのんびりと華やいだ服装でショッピングを楽しんでいる。穏やかさを感じ、空の色も違うのではないかと思ったほどだ。このときも何が違うのだろうかと不思議に思った。

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