ロースクールはどこへ向かって,,,

2009年9月20日

先日,岡山大学ローズクールの合格祝賀会にでかけた。緊張感をもって発表を待ち,合格後の安堵感,これで明日から翌日のことを考えなくても過ごせるという解放感に浸っていたあの38年前の出来事と重ね合わせながら,合格の喜びを語る合格者の話を聴いていた。受験生の時は,受験までの年間の勉強のスケジュールをたてていた。1週間毎の課題にわけてスケジュールは立てられていたので,その課題を積み残してしまえば全体のスケージュールに影響を及ぼす。きちんとこなすためにはその日その日の課題をきちんとこなしていかなければならなかった。そのためには,いつも翌日のスケジュールに影響を及ぼすことは控えておかなければならない。友人と飲み明かすなどという行動はできなかった。合格はそんなことからの開放感でいっぱいであった。

今の受験生は,高い授業料を負担して法科大学院を卒業して司法試験の受験資格を取得する。その合格率は30パーセント程度である。合格して後の司法修習は,我々の時代の2年間から半分の1年間に縮小されている。そして,いよいよ来年の合格者から,司法修習に対しては給与は支払われなくなる。法科大学院の2年ないし3年を高い授業料を支払いながら30%の合格に掛け,合格してもさらに1年間の無給の司法修習を終了しなければ法曹資格はない。裕福な家庭に育った人しか受験できないような状況となっている。

今回の合格者のなかに選択科目として私の担当していた講義を受けていた学生が合格していた。やはり,そうした報告はとてもうれしい。先生というのはそんな喜びをいつも味わっている職業なのだなとこのときは先生をうらやましくも感じた。しかし,私の講義をとっていて,今回の合格発表を楽しみにしていた受験生が不合格となった人もいる。来年も挑戦するとの報告を受けたが,少なくとも私の担当する科目では優秀な学生であったので,是非とも来年は合格して欲しいと思っている。きょう,その受験生とあって,私の事務所で受験勉強に影響を与えない程度にアルバイトをしてもらうことにした。彼は,自分の生活費をアルバイトで支えながらの再度の挑戦である。当初,意図された方向とは異なった法科大学院の制度となっていて,様々な問題を露呈してきている。制度として検討されなければならない課題は多い。ロースクールの変革はなお続くと思われるが,その方向がまだ見えてこない。影響が受験生にもろに出てくるだけに,慎重な議論であって欲しいと思うが,そのスピードも要求される。

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