質問が難しい

 

インタビューが苦手だ。
聞かれるほうじゃなくて、聞くほう。
guca時代、わたしが聞き手となってある作家さんに取材する企画が持ち上がったのだが、どうしてもできないと言って断ったことがある。
 
なぜできないかというと、聞きたいことがないからです。
 
「訴えたいことがないんです」とは鳥肌実のネタだが、どんなに好きな作家さんであっても、とくに聞きたいことはない。
作品を楽しむ。気に入った部分を何度も読み返したりサイドストーリーを妄想したり、それはそれはおおいに楽しむ。雑誌に作家さんのインタビュー記事があれば、それも楽しく読む。しかし、自分から何か聞きたいことを思いつくかというと、まったく思いつかない。
 
個人的に聞きたいことがなくても、読者が知りたいであろうことを推測し読者をレペゼンして質問することは、理論上は可能である。ギャラの発生する仕事ならそうするだろう。でもそうやって乗り気になれないインタビュー記事をまとめたとして、面白い記事になるとは思えない。商業誌ならその種の面白くなさが許されるとしても、同人誌は前のめりな情熱がすべてだ。お金にもならないことをものすごい熱量をかけてやっているからこそ、ああどうかこいつらが赤字になりませんようにとお金を出してもらえるのである。
 
考えてみればインタビューだけではなく、初対面の相手と会話すること自体が苦手だ。天気の話くらいならできるが、そこから先に行くのが難しい。誰かと誰かが会話しているところを隣であいづちを打ちながら聞いているのならやぶさかでないのだが。
 
わたしの脳の中で「質問する」という機能を司るはずの部分が何か全然別の機能を担っているのではないか。たとえば他人よりすこし秀でている機能、早食いとか、似顔絵を描くとか、虫を素手でつかむとか。
 
こんど同人誌でインタビュアーをやらないかと持ちかけられたら、わたしが家の近所で集めた虫を持ち込んでどれなら素手で触れるかみんなで試す企画を提案しようと思う。