仄暗い池の底から

 
引用の誤りや不正確な記述が指摘されて「炎上マーケティングかよ!」と話題になった稲泉真紀氏の「俳句評 短歌の穴からのぞいてみれば・・・」、突っ込みたいところもいろいろあるが、おおいに同意できる点がある。

俳句の方へ目をむけた時、短歌の世界の住人である私には、俳句の新しい世代やスタイルの提案が見えにくいのか、情報が思うように手に入らないのだ。

俳句関係のサイトや出版物に、俳句に興味を持ちはじめた若者にとって役立つ内容、楽しめる内容が少ない、ということは7〜8年前から感じ続けている。いま何が熱いのか。句集を手に取って選べる場所はないか。俳人の○○さんと××さんの関係には萌えを禁じ得ないけどこんなこと考えてるのはひょっとして自分だけなのか……!? そういった情報に手軽にアクセスできるものは少ない。

(定年後に俳句をはじめる層に向けられたものや、ハウツーは多い)
(情報はあるのにサイトのデザインや装丁が渋すぎて気づかずスルーしちゃうことよくある)

俳句は、コツをつかめば上達がはやいから、初心者感覚はすぐ消え失せ、オンラインやオフラインの句会に参加してるうちに情報を共有できる仲間もすぐにでき、いつの間にか感性がベテランになっていくのかもしれない。
だから、初心者向けの情報の必要性が感じられなくなるんじゃないのかしら。

わたしは地方で孤立気味、しかも知能がおっとりしているので、初心者向け情報いまだにほしいし、深く詳しく論じた評論だけじゃなくて肩のこらない文章も読みたい。

『線と情事』の「SWEET HAIKU REPLAY」や『共有結晶』の「BL短歌クラスタに俳人能村登四郎をお薦めする3つの理由」は、俳句をはじめたばかりのひとにも楽しんでもらいたいと思って書きました。
届け、届け、と祈るような、呪うような気持ちで。

(炎上マーケティングに便乗して自分の載ってる本を宣伝する作戦)

ついでに、どうしても突っ込みたかったところを書いておきます。

・「時評」枠の記事のわりに論じる時間の幅がかなり広い。
・「若者」というときに、50歳未満を指しているような気配。(それは俳人の一般的な感覚である。短歌の穴から覗いているんだからそこは短歌ルールで書いてくれていい)
・この記事には直接関係ないけど、詩客ってかなり迷路だ。(週刊俳句は記事を遡りやすい)